左手を壁にあてて 歩く
四回右に折れたあと
同じ壁が声もなく迎え入れた

それでも五度目の角に何かが待っていると
あまい奇跡を期待した弱虫

真っ暗な四角の世界で
僕が頼れるものは何もない
心の目なんかありはしないし
壁を壊す力だってない

六度目の角を右に折れ
七度目の角を右に折れる



左手はもはや壁を感じない
なくなったのは壁じゃなく 手の感覚だと
決めつけて 僕は目を開けれない


だって怖いじゃないか
目を開けた時に 再び暗闇をみつめるのが。



八度目の角を折れた時
僕はどこに辿り着くのだろう


その時僕は
左手を離す勇気に辿り着けるだろうか?

暗闇で目を凝らす勇気に辿り着けるだろうか?




八度目の角八度目の角はもうすぐだ


曲がると同時に離すんだ
この 左手を 離すんだ

ぼ、僕にだってそれくらいできるんだ
できる はずなんだ



八度目の角 八度目の角・・・




これで終わりにするんだ僕にだって できるんだ
きっかけ きっかけさえ、 
きっかけさえあれば、僕にだって・・・



八度目の角、八度目の角




僕だって 本気になればできるんだ
あいつと同じようにできるんだ


チャンスがなかっただけさ
運が悪かっただけさ


ぼ、僕にだって 僕だって・・















あれ?








八度目の角が 妙に遠い

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




























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